トラベラーの皆さん、こんにちは。
昨日14日、エアバス社は超大型旅客機A380の生産中止をとうとう発表しましちゃいましたね。この発表に対しては、航空評論家界隈の方々がウェブ記事やブログ等でいろいろ分析されているので、そちらにおまかせするとして、今回は、A380の生産中止を惜しみつつ、最近搭乗したタイ国際航空のA380ビジネスクラスについてレポートしてみたいと思います。

さて、今回搭乗したのは、タイ国際航空のTG676便バンコク→成田のフライトです。TG676便(及びその復路便)にはここ数年ずっとA380が投入されており、日本就航路線のうちA380を体験できる数少ない路線の一つとなっています。
フライトスケジュールは、バンコク発が7時35分、成田着が15時45分で、日中をまるまる移動に使ってしまう、やや時間的にもったいないフライトではあります。しかし、日中を犠牲にしてでもA380のビジネスクラスには乗る価値があると考え、今回搭乗してみることにしました。一体どんなフライトだったのでしょうか?
2シーター席を利用できた!

A380のビジネスクラスは、アッパーデッキに60席(!)用意されています。シートは、1-2-1(実質的には2-4-2)配列のスタッガードタイプのもので、もちろんフルフラットベッドに変形することができます。

特に真ん中の2席は隣り合っており、この2席を囲むようにぐるっとパーティションが設けられているので、適度にプライバシーも保たれています。まるで2シーター車のような雰囲気があり、カップルに人気のようです。
今回のフライトは全くの一人旅でしたが、ビジネスクラスの搭乗率が半分以下だったので、2シーター席を一人で使うことができました。ラッキーでした。

2シーター席の正面です。大きめのモニターと、オットマンがあります。テーブルは、引き出すタイプのものではなく、パタンと倒すタイプのものになっています。これだと、テーブルにかかる重さをヒンジの一点で支える構造になり心もとない感じもしますが、ヒンジがかなり頑丈に作られているので、よほどの力がかからない限り大丈夫そうでした。

サイドテーブルの側面には、シートコントローラーとモニター用コントローラーが埋め込まれています。さらに、肘掛けの下には適度な大きさのストレージもあり、ノートパソコンなどを収納することができます。
アメニティキットのポーチがカワイイ

ベッドフォンは、もちろんノイズキャンセリング機能付き。フライト中のエンジン音などのノイズを低減し、コンテンツの音声をくっきりと際立たせてくれるので大変快適です。
アメニティキットポーチデザイン、カワイくないですか?”OTOP”というロゴが入っていました。
調べてみたところ、“OTOP”とはタイの一村一品運動のことで、タイ各地の伝統工芸品や食品などに付けられる、政府公認のロゴらしいのです。ということは、このポーチはタイの伝統技法によって編まれた、おそらくタイ航空特注の逸品で、タイ航空以外では入手不可なものだと思われます。
飛行機乗り界隈では、やれリ●ワのアメニティキットだ、やれブ●ガリのアメニティキットだなどとありがたがる風潮があり、よくヤ●オクなどに出品されていますが、もしかするとある意味それらよりも貴重かもしれませんね。

アメニティキットの中身は、アイマスク、イヤープラグ、歯磨きセット、櫛、マウスウォッシュでした。内容物は他エアラインのそれと大差ありません。

この他、フライト中に使える5MB分のWi-Fiアクセスコードが無料で配られました。ただ、5MBってSNSを見たりサイトを数ページ見ただけですぐに使い切ってしまうので、それ以上使うには有料となります。Wi-Fiの通信速度もすこぶる遅くてイライラしました。
機内食

まずは、着席後のウェルカムドリンク。定番のシャンパンをいただきます。シャンパンをグビグビやりつつ、出発を待つのも良いものですね。

CAさんが、機内食のオーダーを取りに来てくれます。今回搭乗した便のメニューはご覧の通り。「朝食」扱いなので、比較的軽めのものが用意されていました。

離陸後しばらくすると、機内食がサーブされ始めます。まずは前菜のフレッシュフルーツの盛り合わせと、ミューズリーです。さすが、バンコク発の便だけあって、南国フルーツはよく熟していて美味しかったです。ミューズリーは普通。

メインは、白身魚のタイ風雑炊と、ネギ入り卵焼きにしてみました。この雑炊が結構美味しく、ペロリといただけました。「バンコク発の便なのだから、タイ料理を選ばなくちゃ」という軽いノリでオーダーしてみたのですが、その選択は間違っていなかったようです。皆さんも是非試してみてください。
フルフラットにしてくつろぐ

食後は午前中なのにビジネスクラス全体がスリープモードになります。昼行便にもかかわらず、照明が暗転されるのです。
私個人としては、昼行便は昼行便らしく明るいままでいいと思うのですが、ヨーロッパ方面からの乗り継ぎで利用している方もいるので、そういった方たち向けの気遣いなのかもしれませんね。2シーターをどちらもフルフラットにしてくつろぐことしました。

オットマンの上に脚を入れ、フルフラットで寝そべってみるとこんな感じになります。私はギリギリ大丈夫でしたが、背の高い男性だとかなり窮屈に感じられると思います。脚が自由に動かせないのは、心理的にも圧迫感があります。

ただ、今回は2席を独占できたのでだいぶ楽でした。一方は自分のベッドとして、もう一方はテーブルやスマホ充電用として使えて快適です。

スリープモード中でもお腹は空きます。雑炊だけでは足りませんでした(笑)。そこで、オールデイダイニングメニューの鴨そばをお願いしました。
しかし、やはりタイ発の便ではタイ料理を食べるべきですね。この鴨そば、麺はボソボソ、汁は甘ったるく、ネギは太すぎて、決して美味しいものではありませんでした。
A380ビジネスクラスはやはり快適

着陸前になると、機内照明が点灯され、タイ航空のコーポレートカラーである紫の光に包まれます。タイ航空らしい味のある演出です。
A380アッパーデッキのビジネスクラスは、搭乗率が低かったこともあり、かなり快適でした。機内は静かですし、程よくプライバシーが保たれていました。今まで経験したフライトの中でも5本の指に入る快適さだったと思います。
先日、エアバスはA380の生産中止を発表しました。これにより、A380は市場の動向を見誤って生み出された残念な機材という評価が今後定着していくでしょう。
しかし、A380が航空旅行の新たな可能性を切り開いてくれたことも事実です。(フライト中にシャワーが浴びられるなんて、A380搭乗以前に誰が考えたでしょうか?!)こんな夢いっぱいのA380、生産中止となった後も末永く世界の空を飛んでほしいと思います。