この AirAsia Unlimited Pass は、クアラルンプールと豪・日・韓・中・印を結ぶエアアジアXの中長距離路線が、来年の3月2日まで何回でも利用可能なるという、超太っ腹な乗り放題定額パスです。
それがたったの499MYR(約12,800円)!
これを逃してはトラベラーとしての名が腐ると、なんとしてもゲットしようとトライしてみました。しかし、何度購入ボタンを押してみても決済されず、結局買えずじまい。歯ぎしりをしてエアアジアのサイトを呪いました。
買えないのも無理はありません。そもそもこのチケット、購入対象者がマレーシア在住者に限定されているんですよね。ネット上ではその制限を突破する裏技が流れていました。それらを試して何度も粘ってみましたが、何をやっても決済できず、最終的には購入を諦めました。購入制限を突破されないような仕組みが幾重にも張り巡らされていたようです。購入できた方、正直うらやましいです。
エアアジアの当面の資金確保?
告知サイトでも示唆されている通り、このパスは新型コロナウイルスによる搭乗率低下を見越して急遽セットアップされたものです。エアアジアは、今年は需要は相当落ち込むと睨んでいるのでしょう。今後、座席が埋まらないまま空気を運んで飛ぶことになるのであれば、予めパスを売りさばいて資金を確保しておいたほうがいいと考えたものと思われます。パスがたくさん売れたとしても、購入者は当面は新型コロナウイルス感染を恐れて搭乗を控えるでしょうし(対象路線に感染流行国が多い)、減便や運休という事態になればパスを売ってしまっておいたほうが却ってエアアジアにとってはメリットがあると読んでいるのかもしれません。
乗り放題客ばかりになったら会社やばくない?
一方で、新型コロナウイルスが早期に収束し需要が回復した場合、パス利用者が予約をたくさん入れてしまえば、通常の搭乗者が予約しにくい状況になり収益機会を逃してしまうことにはならないかとの危惧もあるでしょう。しかし、パスの規定を読んでみると、そういった事態にもうまく対応できるような制度設計がなされています。以下に、このパスの利用ルールで特徴的なものを箇条書きにしてみます。
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エアアジアXまたはタイ・エアアジアXの4時間以上のフライトが対象(例外フライトあり)
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乗り継ぎ(フライスルー)には適用されない
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除外期間や座席数制限あり(特に祝日、学校休暇期間、週末)
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14日前までの予約が必要
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予約した便は変更・キャンセル不可
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ノーショーは3回まで、これを超えるとパス失効
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初回予約後の名前の変更は不可
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同日中の利用は2便まで、同じルートは不可
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BIGポイントの加算・利用は不可
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パス購入後の返金は不可
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空港利用料や税金などの諸費用は別途徴収される
乗り放題枠は会社の裁量しだい
特に注目したいのが3.です。ここでは、パスの利用には除外期間やフライトごとに座席数の制限があるとはっきりと書かれています。しかし、その具体的な制限内容については一切明示されておらず、すべてエアアジア側の裁量によるものとなっています。つまりこれは、需要が回復してきたら、エアアジア側の一方的判断で乗り放題枠を減らし、一般の乗客を増やすことができることを意味しています。
そう、このパスの購入者がパスを利用して希望の便で飛べるかどうかは、エアアジアのさじ加減に委ねられているんです。いやむしろ、人気の便ではこのパスは利用できない可能性が高いのです。
パスの利用には時間的コストがかかる
さらにパス利用の大きな足かせとなるのが、4.~6.です。パスを利用するためには14日前までの予約が必要で、予約してしまうと変更・キャンセルは不可。となると、予約した後でその便が都合が悪くなってしまった場合はノーショー(予約を入れたままで当日搭乗しないこと)するしかなくなってしまいますが、3回ノーショーをしてしまうとパス自体が失効します。
つまり「2週間前までに予約をして、予約した便には必ず乗れよ」ということですね。これによって、パス購入者が思いつきでポンポン予約を入れるのを防いでいます。エアアジア、なかなかうまく考えていますね。逆に言えば、パス購入者側にとっては自由な利用がかなり制限されているわけです。
おわりに
以上のように今回のパスは、乗り放題に当てられる座席数はエアアジアの裁量でどうにでもコントロールできる、かつ、2週間前予約と予約変更不可でパス購入者には時間的なコストを強いる、という2つの点で自由度が少なく、購入者にとっては比較的不利な制度になっているのではないかと考えられます。パスを購入したものの、自分が思い描いていたようには使えずにフラストレーションが溜まることになるのも十分予想されます。
とはいえ、値段が約12,800円ですので、例えば日本⇔クアラルンプールが1回でも利用できれば、それだけでも十分にもとは取れます。マレーシア在住者限定になっているが本当に悔しいですね。マレーシアにいらっしゃる方は、試しにお求めになってみてはいかがでしょうか。
追記
実際にこのパスを利用するとどれくらいお得になるのか、画像をいただきました。クアラルンプール→羽田が、通常価格14,309円のところ、パス適用で1,921円(諸費用のみ)になったそうです!やはり週末や繁忙期には適用されず、平日のみの模様。でもこのお値段になるなら魅力的ですよね。