ウィーン空港から市内へのアクセスは何がオトク?CATとSバーンを乗り比べてみた

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 ウィーンには、空港から市内へのアクセスに使える鉄道として、CATとSバーンの2種類があります。それぞれサービス、価格、遅延などの面でかなりの差があります。旅行者はトラブルを避けるためにも両者の使い分けをしたほうが賢明です。

 そこで今回は、この2つの鉄道を様々な角度から比較してみました。ウィーン旅行の一助としてお役立てください。

 まずは大まかな位置情報を掴んでおきましょう。ウィーン・シュヴェヒャート国際空港は、ウィーンの南東部に位置し、旧市街から直線距離で17kmのところにあります。

 空港にはCATと呼ばれる空港鉄道と、Sバーンと呼ばれる在来線が乗り入れており、CATはウィーン・ミッテ駅とのシャトル運行を行い、Sバーンはミッテ駅を含めたその他在来線の各駅とを結んでいます。両者は鉄道としては対極にあるので、それぞれについて詳しくご紹介します。

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CATは速くて快適!

 CATとはCity Airport Trainの略で、この鉄道は、空港とウィーン・ミッテ駅間をシャトル運行する空港利用者に特化した空港鉄道です。運営は、ウィーン空港会社とオーストリア国鉄(ÖBB)による共同出資会社によって行われており、つまりÖBBとは別の組織になります。

 料金は駅の自動販売機での購入の場合、大人片道12EUR(約1,600円)。ややお高めですね。ただ、往復で購入すると21EURに割引されます。さらに、CATのウェブサイトで事前購入しておくと、それぞれ11EUR、19EURにまで割り引かれます。(⇒CAT料金表

 空港とウィーン・ミッテ駅間をシャトル運行しているだけなので、大抵はプラットフォームで車両が待機しています。乗客がプラットフォームで立ちっぱなしで待ちぼうけになるというようなことはあまりありません。

 これが結構重要なポイントで、特に冬場になるとそのありがたみがよくわかります。冬のウィーンは最高気温が0度に届かないなんてザラ。プラットフォームは地下に作られてはいるものの、暖房も無くかなり寒いんです。待ち時間なく、暖房のきいた車内に乗り込めるのは、冬のウィーンでは本当に救いです。


 緑の塗装が実に鮮やかですよね。車両は2階建てで、かなりキャパシティがありそうです。


 車内の座席配列は2-1になっていて、ゆとりがあります。シートは革張りで、リッチな感じ。走行中には車掌さんが回ってきて検札が行われますので、チケットを用意しておきましょう。


 また、ドア付近には新聞や雑誌も用意されていました。切符が高い分、この辺のサービスも充実しています。

 空港駅~ウィーン・ミッテ駅間の乗車時間は16分。あっという間でした。朝の5時台から深夜23時台まで30分間隔で運行されているので、うまく活用すればかなりの時短になります。

 また、ミッテ駅にはCAT利用者限定のインタウンチェックインもあり、空港から出発する際には、駅で搭乗便のチェックインを済ませ荷物を預けてしまえば、空港に着いてすぐに保安検査場へと向かうことができ、大変楽です。空港利用者に特化したサービスを受けられるのがCATの魅力ですね。

Sバーンは安さが魅力!

 SバーンとはSchnellbahn(シュネルバーン、都市高速鉄道)のことで、ÖBBが運営しています。日本だと、JR在来線の各駅停車の停車駅の一つに空港駅が含まれていると喩えるとわかりやすいでしょうか。

 SバーンはCATと同様に空港駅とウィーン・ミッテ駅を結んでいますが、空港駅とミッテ駅の区間はSバーンの路線の一部に過ぎず、その間にも停車駅が複数あります。

空港駅~ウィーン・ミッテ駅の料金は、利用する便で変化しますが、路線S7の最安値で大人片道3.90EUR(約520円)です。2人同時利用が条件のペアチケットは4.60EURに割引されます。ただ往復切符の設定はなく、またオンライン購入でも割引はありません。

 この日のSバーンは、定刻より20分遅れでやっと到着しました。その間乗客はプラットフォームで立ちっぱなし。寒さが身にしみます。CATとは大違いですね。


 座席配列は2-2が基本。CATと比べるとギュッと詰め込んでいる感じがします。


 シートの素材はファブリックで、背もたれが幾分薄っぺらい印象です。

 空港駅とウィーン・ミッテ駅間の所要時間は20~25分。乗車する便によって変わってきます。遅延さえなければ、安くてそれなりに使い勝手がいいのですが……

CATとSバーン、どっちを選ぶ?

 ここで、空港駅~ウィーン・ミッテ駅間におけるCATとSバーンの比較表を作ってみました。

CATSバーン
片道料金12EUR3.90EUR
所要時間16分20-25分
途中停車駅なし(直通)あり
遅延可能性
座席配置2-12-2
快適性
ラゲッジスペース
車内検札ありまれ
インタウンチェックインありなし
ウトウトして大丈夫?たぶん大丈夫。ダメ。乗り過ごします!

 CATはシャトル運行なので、ウトウトして乗り過ごす心配はありません。料金は高めだし車内検札もあるので、スリなどをする不届き者はほぼいないでしょう。

 一方、Sバーンは寝てしまっては絶対に駄目です!各駅停車の普通列車なので、乗り過ごす危険性大です。また、空港利用者以外も乗車しているのでスリにとっては活動しやすく、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

やはり安さにはかなわないらしい

さて、CATとSバーン、どちらが人気かというと……

 空港の切符売り場の様子です。左のみどりの券売機がCATのもの、右のオレンジの券売機がSバーンのものです。一目瞭然。安いほうに人が集まるのは、洋の東西を問わず、人間の真理だということですね。

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