「てるみくらぶ」破産に思うこと。旅行リスクは分散を。

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てるみくらぶ公式サイト

海外パッケージツアーをメインで取り扱っていた「株式会社てるみくらぶ」が、27日付で破産となりました。一部情報によると、被害申込件数は約3万6千件、負債総額は約150億円に上るとのことです。

被害に合われた方は、楽しみにしていた旅行そのものが無くなり、更にお金まで返ってきそうにないという二重の災難の最中であり、心中お察し申し上げます。少しでもより多くの弁済を得られることを願ってやみません。

一方、この破産を受けてネット上では様々な意見が飛び交っており、中には安直で冷静さを欠いた乱暴なものも見られるので、私なりにここで一度立ち止まって整理しておきたいと思います。ということで、てるみくらぶの説明記者会見からのポイントをまとめてみました。

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【破産の理由】
・直接的はIATAに対する4億円弱の債務不履行により、航空券が発券できず事業継続ができない。
・シニア向けに新聞広告を売ったが、コストがかかりすぎた。
・旅行代理店を利用しない旅行客が増えた。
・かつては航空会社から出る空席を大量にさばいていたが、機材の小型化により安い空席が出にくくなった。
・経営の見通しが甘かった。

【弁済の見通し】
・被害者に弁済されるのは、被害額の1%程度になる。

【利用客への注意】
・すでに発見された航空券については利用可能だが、航空会社に確認したほうが良い。
・渡航先のホテルや現地代理店等には未払いであるため、利用できない可能性が高い。

会見で述べられていた主なポイントは以上のようになると思います。弁済されるのが被害額の1%程度というのは、流石にきついですね。すでに100万円以上払っていた人もいるということですが、返ってくるのは1万円程度。これは酷すぎます。

こういったこともあって、ネット上では「格安旅行会社はあてにならない」「大手にしておけばよかったのに」などと言われていますが、さて、果たしてそういう単純な問題なのでしょうか?

そもそも旅行会社とは、ホテルやエアライン等と、利用者の仲立ちをすることで成り立っています。利用者がホテルやエアライン等を直接手配するのは、かなりの手間ですので、その作業を旅行会社すべておまかせすることによって、私達はそういった煩雑な作業から開放されているわけです。さらに、添乗員付きのツアーにしてしまえば、外国語の心配もなく、現地の交通事情を気にすることもなく、手軽に海外旅行を楽しめます。つまり、旅行にまつわる一切合財の決定権や決済権を、我々は旅行会社に一任してしまうわけです。

とすると、その旅行会社一社が飛んでしまっただけで、その旅行全てがパーになってしまうわけです。確かに、大手旅行会社は財務基盤はしっかりしているでしょうから、そうそう会社が飛んでしまうことはないかもしれませんが、事情は同じで、旅行会社が倒産すれば旅行全体が成り立ちません。

一方、旅行会社を介さずに、自分で直接手配をしておけば、旅行そのものができなるなるというリスクは少なくなるでしょう。利用予定の航空会社が倒産した場合でも、被害額は最小限に抑えられるはずで、代替航空会社で救済されるということもあります。

私は、このリスクの集中度合いの違いが、旅行会社経由の旅行と、個人旅行を大きく隔てているものだと考えています。てるみくらぶの会見でも触れられていたとおり、近年は旅行代理店を通さずに直接ホテルやエアラインを手配する人が増えています。この傾向はますます進むと考えられ、旅行会社(特に個人をターゲットにしている会社)は今後も苦境に立たされるではないかと思います。いつ何時、旅行会社がぱたっと事業を停止するかわかりません。私としては、海外旅行を計画する際は、ぜひこういったことも心に留めつつ、綿密な計画を立てていきと思います。

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