今回は、アンコール・ワット周辺の寺院群の中でも飛び抜けて神秘的なタ・プローム寺院をご紹介します。タ・プロームはジャングルの中で長い年月忘れ去られていたので、その間に生い茂った木々が遺跡を締め付けるかのように根を張り巡らせており、まるで天空の城ラピュタを思い起こさせる、他に類を見ない名所です。たいていのアンコール・ワット観光のコースでも組み入れられていて、トゥクトゥクでのアクセスも容易なので、アンコール・ワット、アンコール・トムとともに必ず訪れておきたいですね。
タ・プロームの参道を歩いて境内に入ります。参道の両側は鬱蒼としたジャングルで、まさに異界の雰囲気。
タ・プロームの正面にたどり着きました。一見すると立派なのですが……
内部はいたるところで崩壊が進んでおり、歩く際には注意を要します。
こういった何気ない通路でさえ、風格と神秘性を湛えているのが不思議ですね。
石壁には苔や蔦が生え、時間の流れを感じずにはいられません。
積み上げられた石材の山。これを元通りに修復するのか、それとも時間の流れに任せて「崩壊しつつある寺院」として残していくのが、議論を呼んでいるとのことです。
寺院内には、こういった見事なレリーフも数多く見られます。ただ、その多くが木々の影響を受けていたり、崩壊が進んでいたりして、創建当時の姿を残しているのは少ないのだとか。
まるで大蛇のように遺跡にまとわりつく木の根。気持ち悪いくらいに生々しいですね。
こちらの木の根は、まるでタコが獲物を足で捕まえるように、 遺跡を締めあげています。
自分が木の根に襲われるのではないかと錯覚を覚えるほどに力強く、とても生々しいのが印象的でした。そんなことはあるはず無いのにね。
こちらの木の根はほぼ遺跡を覆い隠していて、 元がどうなっていたのかすらわかりません。
木の根の間から、クメールスマイルを湛えた像が顔をのぞかせています。
今回のシェムリアップ旅行の中で、タ・プロームは私に最も強烈な印象を植え付けました。廃墟が好きな方も、そうでない方も、ここは是非訪れてみてください。自然と人間の相克を感じることが出来る稀有なスポットだと思います。