ユナイテッド航空マイレージプラスが2015年3月1日から大幅改定(改悪)!デルタ同様チケットの支払金額に応じたマイル加算に!

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(マイレージプラスの特典航空券必要マイル数の改悪についてはこちら »

ユナイテッド航空(UA)のフリークエントフライヤープログラムであるマイレージプラスのマイル獲得方法が、2015年3月1日より大幅に改定されることがアナウンスされました。従来は実際の飛行距離(フライトマイル)に応じてマイルが加算されていましたが、新制度では航空券の支払金額に応じて加算されるようになります。

フライトマイルベースでのマイル加算から、支払金額ベースでのマイル加算への移行は、既にデルタ航空スカイマイルが2015年1月1日から適用することをリリースしています。今回のマイレージプラスの改定は、デルタのそれをほぼそっくりそのまま踏襲する内容となっており、米系大手エアラインは横並びでマイレージ制度改定(改悪?)に突き進むようです。これは、マイレージ制度そのものの根幹を揺るがしかねない大幅な変更ですので、ここで確認しておきましょう。

支払金額に応じたマイル加算

上でも述べたとおり、今回のマイレージプラスのもっとも重要な変更点は、マイル加算が支払金額に応じたものになることです。従来は飛行距離(フライトマイル)に応じて加算されていたため、長距離路線や乗り継ぎ便の格安チケットを手に入れれば、低い金銭的負担でより多くのマイルを加算することが出来ました。

しかし、支払金額に応じたマイル加算が実施されるようになると、チケットの金額が直接的に獲得マイル数に反映されるようになり、これまでのような格安チケットでのうまみは失われてしまいます。長距離路線でマイルを稼いでいた方にとっては、痛すぎる制度改正です。

獲得マイル数は1米ドルを基準とし、会員ステータスによって獲得できるマイル数が変わってきます。細かい内訳は下表のとおりです。

    支払金額1USDごとの獲得マイル数
一般会員  
5マイル
プレミア・シルバー会員  
7マイル
プレミア・ゴールド会員  
8マイル
プレミア・プラチナ会員  
9マイル
プレミア・1K会員  
11マイル

この獲得マイル基準は、デルタのそれと全く同じです。注目したいのは、一般会員と1K会員では、獲得マイル数に2倍以上の差が付けられているという点です。現行の制度では、マイル加算率自体はチケットの予約クラスに応じたものとなっていますが、新制度では会員ステータスによって獲得マイル数に差が設けられており、得意客を厚遇することになります。

また、現行ではエコノミーとファーストでの加算率の開きは1.5倍でしたが、新制度では一般会員とダイヤモンドの獲得マイル数の開きが2倍以上となり、ここにも大きな差がつけられています。つまり、頻繁にUAを利用する客に対しては手厚く優遇し、一見客を冷遇する姿勢が垣間見えます。

エコノミークラスのシミュレーション

ここでシミュレーションしてみましょう。成田⇔ニューヨーク(JFK)の往復のエコノミーのチケットを一般会員が購入すると、どれくらいのマイルを獲得できるのでしょうか。UAのサイトで検索してみると、115,060円(約1,125USD)が最安値でした。

現行制度の場合

(NRT-JFKの飛行距離)   (往復)    
6,745マイル
×
2
13,490マイル

新制度の場合

(支払い米ドル)   (一般会員獲得マイル数)    
1,125USD
×
5マイル
5,625マイル

なんと、新制度では現行制度の場合の半分以下のマイルしか加算されません。これは……。大大大改悪にほかなりませんね。開いた口が塞がらないほどの、目を疑うような結果です。

ちなみに、1K会員の場合は、1,125×11=12,375マイル。あれれ、1K会員でさえ、現行の加算マイル数よりも低くなってしまいました(笑)。何じゃ、この新制度!一般会員だろうがステータス会員だろうが、エコノミー利用だと結局は現行の加算マイル数よりも少なくなるんですね。

ビジネスクラスのシミュレーション

一方同路線のビジネスクラスの往復チケットでも検討してみましょう。UAのサイトでは487,060円(約4,762USD)と出てきました。

現行制度の場合

(飛行距離)   (往復)   (クラスボーナス加算)    
6,745マイル
×
2
×
150%
20,235マイル

新制度の場合

(支払い米ドル)   (一般会員獲得マイル数)    
4,762USD
×
5マイル
23,810マイル

ビジネスクラス利用では、一般会員でも新制度のほうが2割弱ほど多めにマイルが獲得できることになります。これが1K会員の場合は、4,762×11=52,272マイル!現行の2.5倍強のマイルが加算されます。うわぁ~。

あまりにも明白な得意客贔屓。「マイルが欲しけりゃビジネスに乗れよ、何回も乗ってステータス上げろよ、で、金を落とせよ」という強いメッセージを我々は読み取らなければいけません(笑)。清々しいくらいの拝金主義。金を落とさない客は相手しませんと宣言しているようなものですね。

私は、UAのマイレージプラスをメインとしてマイルをためてきました。しかし、最近は改悪が相次ぎ、今年初めにも特典航空券必要マイル数が大幅に引き上げられたばかりでした。それに加えて今回の獲得マイル数算出方法の変更というダブルパンチ。もうこのFFPにとどまっていても何もメリットがなさそうなので、マイレージプラスを見限るつもりです。どこに鞍替えしましょうかねぇ。

マイレージプログラムは限界に達しつつある?

このところ、米系大手エアラインのマイレージプログラムの改悪が目立ちます。今年2月には、デルタとユナイテッドが、特典航空券の必要マイル数を同時に引き上げました。それも、引き上げ率は最高のもので50%超という、かなりあくどいものでした。さらに、デルタは2015年1月からチケット支払金額ベースでのマイル加算の導入を発表していましたし、それに追随する形で今回のユナイテッドの改悪が発表されました。両社はまるで足並みを揃えるかのように、改悪の道をひた走っています。

このようなマイレージプログラムの相次ぐ改定は、明らかに一部の上位顧客を優遇し、その他大勢の利用者を切り捨てる方向に向かっています。さらに、今回のチケット支払金額ベースのマイル加算の導入によって、マイレージプログラムは巷のポイントカードと同レベルのロイヤリティ制度に成り下がってしまいました。もはや、原義的な意味での「マイル」とは無縁の制度になってしまったのですから、「マイレージ」などと名乗るのは痴がましくさえあります。

当初、マイレージプログラムはエアラインの利用者の囲い込み手段として設計され、利用者全体にとってかなりウマミのあるものでした。実際のフライトマイルに基づくマイレージは、自分が飛行機にどれだけ乗ったかの証でもあり、そこにこそマイレージの面白みがありました。

しかし、チケット支払金額ベースのマイル加算の導入は、マイレージの本質的な面白みをエアライン自らが捨て去ることにほかなりません。マイレージプログラムという囲い込み戦略そのものがもはや十分に機能しなくなり、限界に来ているのではないかと思われます。燃料費の高騰やLCCとの競争など様々な要因があることは理解できるものの、従来のマイレージ制度が変えられてしまうのは、一利用者として非常に残念です。ドライで「遊び」のない新制度に魅力を感じられない人も多く出てくるでしょう。

マイレージ制度の改悪は、この後他社でも行われていくでしょう。しかしそれは、それまで支持してくれた利用客のロイヤリティを失い、あえてそのエアラインを使わなくてもいいと考える人が増えていくことにほかなりません。他社がどのような対応をしていくのか、注視していきましょう。